寄稿 日本中で暮らした中野周平さんに、恵那山麓での暮らし、なりわいを聞く 山村の果樹園に今年も冬が来た。 秋に多くの果物をつけていた木々はとっくにすべての葉を落とし、今ではその幹と枝だけの武骨な姿を見せるのみである。この地域の方言で“しみた”、つまり凍った地面からは、長靴の底を伝って寒さが傷みを伴って感じられる。広く静かな空には時おり雪が降る。温暖な地域で育った僕にとっては非日常的な日々である。 2024.01.30 寄稿