二十四節氣『立春』

ゑなの結
ヤッホー。厳寒の雪化粧を人々は待ち望んでいると思いきや、最強寒波となると脅威となりますね。脅威であり美の象徴である雪を表す言葉、日本語には百を超えます。Kimono文化(呉服販売、着付け師)で感じた日本の「かっこいい」が故郷にはいっぱいあるので一人編集室を立ち上げました。恵那山を崇拝の対象としていた旧恵那郡を『ゑな』と表現し、二十四節気とともにモノ・コト・ヒトと繋がり、令和の時代の結を綴ります。
#全国発酵食品サミットinえな

恵那・中津川の立春

『立春』は春の始まりです。何度が触れましたが日本の暦の歴史には、始まりとされる日が多くあります。この二十四節気においては『立春』から一年が始まるので、気持ち新たに何か始められる方も多いのではないでしょうか。

こちらも雪が降り積もり北風がびゅう、と吹く中雪かきをしながら春を探しています。冬が来るたびにいろんな降り方をする雪の名前を何回か覚えたのに、さっと浮かばないものだなぁと思いました。私は舞うように降る雪が好きです。

麹室(こうじむろ) 製麹(せいぎく)

岐阜県中津川市の加子母地区の麹室で、「製麹」を体験させてもらいました。昭和53年に移築された麹室は、懐かしい井桁柄のガラス窓が昭和のおもかげを醸し出していました。いにしえの時代を感じる木箱の色や木目。錆びたはそり鍋や古道具に経年変化の美を感じます。

ここは寒の内から人々が集まり、麹を作る場所です。公民館のような建物で、かつては各地区にこういった麹室があったそうです。今年は、守手(まもりて)である管理人さんが体調を崩され、お手伝いの方々が集まり、管理人さんの手足となって作業が始まりました。私もご縁あって麹室で作業することになったのです。

大寒の日に大掃除を終わらせ、集められた80㌔のお米を前日に洗い、セイロで蒸し、種菌をまき、「ろじ」と呼ばれる麹箱に入れて麹室に収めます。機械化はされず、数値化されず、体感で次の工程へと進みます。

しんと冷えた空気の中、太陽の光が差し込み、黄金にも見える蒸された米、湯気と働く手に神々しさを覚えました。やったことのない体験をするからそう感じるのか。そこで作業している人々の想いがそうさせるのでしょうか。

私が携わったのは「盛り込み」という作業のほんの一部ですが、もし麹が出なかったら?と不安が頭をよぎることも。それから二日後の朝、無事に麹が出た知らせに安堵し、その写真の美しさに「出麹」の喜びも分けてもらったように感じます。こうした文化は地域の強みだと感じます。お互いに労力を交換して助け合ってきたこの麹室で、これからの【結】のようなコミュニティとは何かを考える日でもありました。そしてまた行けるといいな、と思いを馳せるのでした。

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