大雪 | 2025 | 寒天の冬支度

二十四節氣

 季節は小雪から大雪へと巡り、暦の上だけでなく、ここ恵那山麓にも確かな冬が降り立ちました。朝、水面には薄い氷が張り、木々の葉は役目を終えて大地へと還ります。風は冷たさを増し、いつしか凛とした北風へ。その風に乗って、本格的な冬将軍の息吹を感じます。

山岡の白い冬

恵那市山岡町は、日本の細寒天シェアの八割を誇るこの寒天の里。いよいよ寒天づくりの「冬仕度」が始まりました。昼夜の寒暖差が激しい山岡町はまさに天然の冷凍庫。この厳しい気候こそが、透き通るような上質な寒天を育む土壌となります。

田んぼでは、寒天を干すための棚場づくりが進められています。まずは杭を打つところから。杭自体にも手作業の美しさがにじみ出ており、垂直と平行を丁寧に出し、一本一本大地に杭を打ち込みます。次に「棚かき」といわれる作業では、近くの藪から切り出してきた竹を縛り、組み上げていきます。その作業は、まるで二十世紀の原風景をそのまま切り取ったかのようです。

また、寒天を並べる「葦簀(よしず)」は、琵琶湖畔で育てられる「よし」という、茎の中がストロー状になった美しい天然素材で作られていました。さらに、凍った寒天を棚に押し出す「筒引き」という道具も地元職人の手作りです。しかし、この道具をつくれる職人は今や一人になったと聞きました。

すべてが自然素材で、季節の移り変わりの力を借りて手作業でつくられています。山岡の細寒天が人々に愛され、高い品質を保ち続けている理由が分かった気がします。地域の手で、地域のものを使って、自然の寒気の中で命を生み出す。作ることも、食べることも、そしてそれを次の世代へ伝えていくことも。その過程のすべてが、なんと尊く美しい循環でしょうか。

まもなく、辺り一面に白い絨毯が敷かれる時期がやってきます。凍てつく風の中で、黙々と冬の準備をする人々の背中に、私たちは変わることのない自然の営みへの敬意を覚えるのです。

ゑなの結とは

私たちは恵那山のふもとでフリーペーパーを発行している任意団体です。本当の意味で“誰一人取り残されない”のは季節の移り変わりではないでしょうか。また美しい自然から、地域の強みや魅力を教えられているのは、私たちだとも感じています。 心を豊かにするこの地域のひとときを二十四節氣とともに発信。そしてこの地のスタートアップから、インタビューや寄稿を通したコンテンツは、恵那山の頂きより「ヤッホー!」と叫ぶように、多くの人々に届いたらいいなと思っています。
We are a voluntary organization that publishes free papers at the foot of Mt. Ena. Isn't it the change of seasons that truly means that no one is left behind? I also feel that we are the ones who are taught the strengths and charms of the region by the beautiful nature. We will transmit a moment of this region that enriches the mind with 24 seasons. And I hope that the content through interviews and contributions from startups in this area will reach as many people as possible like shouting "Yo-ho!" from the top of Mt. Ena.

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