三郷町殿畑からベルを真ん中にしたキタリア会が里への想いを語る

寄稿

ベルの家 菅野 貴子     キタリア会 中森 美保子

この里に飛び込んで来てもう10年になる。幼いころから「いつか馬と暮らしたい」という夢を持ち続けてきた。三郷町椋実(殿畑地区)『ベルの家』は、元は祖父の家。空き家になり存続をどうするのかとなった時、馬と暮らせるのなら!と、周囲の反対を押し切り、東京の暮らしから一転、子どもたちを連れ、この里山での暮らしを選んだ。

2016年念願の馬『ベル』との生活をスタート。馬を近くに感じて欲しく、里を巡りながらの引き馬や乗馬体験もはじめた。多くの人が訪ねてくださり、今ではベルのことを「お里の顔」だと言ってくださる方もいるほどに知れ渡り、たくさんのご縁ができた。ベルを入り口にこの里の魅力を知って欲しい。

春には家の上の山がツツジで見事に一面ピンク色に染まる。目の前の国道を通る多くのバイクや車が、写真を撮るために停車する姿が増える。このツツジ山も地元の有志トノバッタが丁寧にクマザサなどを地刈りして、ツツジが自生し広がっての今の姿。ピンクの山を愛でながらのつつじ祭りには、この地でとれた米、みなで研ぎあげたヒノキ串に名人の作る絶品タレでの五平餅や、名人のシシ肉などふるまう。一口ほおばった焼きたての五平餅、今までのどこでも食べたことのない美味しさや豊かさの感動が忘れられず、また次の春を心待ちにすることになる。

東京での暮らしはあくせくしていて、常に見えない何かに“負けてはいけない”そんなピリピリした気持ちの中で生活していたように思う。子どもたちの育ちにも制限が多く、不自由を感じていた。山がある、森がある、川がある。野山の中、大人も子どもも、何もない中から遊びや恵みを見つけ出す。豊かさがここにはある。

ここの人たちは、本当にこの里を大切にする。こんなにも損得なしに、地域ごとに貢献する人たちがいるのだ、と今までの暮らしにはなかった地域への介入に驚いた。外から移ってくる者にとって、その地と人との関わりに馴染めるかどうかというのは全国移住者共通の心配事の一つだが、本当にありがたいことに、新参者へウェルカム!の体制が整っているわけではないだろうに、この里の人たちはとても温かく迎えてくださった。さらに尊敬することは、この里の匠たちは(尊敬の意を込めてこう表現してみるが)、なんでも創り、繕い、自分たちの力でいかようにでもしてしまう。御年幾つになってもその姿勢があることに、まさに生きる力に長ける姿に、子どもたちにも大きな学びの機会が与えられ、里山暮らしのありがたい恩恵だと思う。私たちも何かしら役に立てないものかと、そんな思いを常々心に留めている。

そんな中、昨年、夏祭りの実行委員を主に移住してきた若手に託される機会が巡ってきた。外から来た私たちの見たこの里、椋実の良さを郷土カルタのようにして作成し、交流会を図った。既存の祭りに少し新しさを加えて、この里がまだまだ可能性や活力を秘めていることを内外共にアピールをした。実際、移住者どうしでは頻度よく料理を持ち寄り、移住者交流の「キタリア会」(幾度と食卓を共にした同じ里の故・吉澤守氏の命名)を開催。熱を込めてこの里の盛り上げ方、存続の仕方を夜遅くまで語り合うのである。

空いた田んぼで見よう見まねで米づくりを始めてみれば、すぐに里中に知れるところとなり、入れ代わり立ち代わり見に来てくださる方々がいる。一方、田んぼをやるなんてことは、外の知人友人に声を掛けようものなら、みな羨ましがり飛んできてくれる。人の減り行く里山に人が集う光景に、これからの里の在り方と可能性を模索する。里の人たちはここを「何もないところ」だと言う。外から来た私たちには都市では決して手に入ることのない豊かなものが「なんでもある」ように映る。ここに暮らしみて、外も中もわかる私たちだからこそ、結び手になれると確信をする。何も新しい者ばかりを増やしたいわけは毛頭なく、ご縁あってめぐり着いたこの里と人たちへ、ただただ私たちにできることを循環させたい。恵那の各地個性豊かな面々の活躍を耳にする。出張キタリア会、訪ねまわって、地域活性の意見交換なんてことも、面白いかもしれない。

【恵那山のふもとからの寄稿】は恵那、中津川に移住定住して下さった人々のなりわいに感謝したい、応援したいというおもいがあります。また、ここで産まれた人々、今は他の土地に根差し活躍している人々の紹介。スタートアップでこれからこんなことしていきたい!応援して欲しい!熱いおもいを伝える人々の場所としたいとスタートしました。 そんな私たちも応援して頂いています。この循環が大きくなってこの土地が豊かになりますように。次のクールの支援も始めました。シェアして頂けたら嬉しいです。

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